■『暗い水音』
放課後のトイレは、なんとなく嫌だ。
だって、昨日の夕方掃除して、今日皆が「使用した」状態なのだから。
もちろん、そんなトイレを掃除するのはもっと嫌だ。
デッキブラシで床をこするたび、タイルの縁で水が跳ね、私の気持ちを暗くする。
なんで、こんなことをしてるんだろう。
考えたって誰が変わってくれるわけでもないのだろうけれど。
これが、私の当番の日だというなら、それでも我慢できる。
しかし、今日は別のクラスメイトの当番だったはずだ。
『御坂さん、どうせ放課後暇なんでしょ? 私がやること作ってあげる』
仲良しグループのリーダーにそう言われたのは先ほど。冗談じゃない。
私はこのあと帰ってドラマを見る予定だったのに……。
『御坂さんならやってくれるわよね? だって、私たち友達だもんね』
有無を言わせぬ笑顔が、私に引き攣った笑顔と、頷くことを強要する。
『ありがと。私、トイレそうじなんてきったないからヤなのよね。
御坂さんならその点、掃除好きでしょ? 適任だと思ったのよね』
思わず、ブラシを投げ出したくなった。
「何が掃除好きよ……どうせ、断ったら仲間はずれにするくせに……」
―――これが現実。
前にグループでこき使われていたクラスメイトは、もう学校に出てこない。
噂では、リーダーの娘らに苛められ、不登校になったという。
何が行われたのかはわからないけれど、少なくともトイレ掃除などよりはよほど酷いことなのだろう。
考えたくなくて、私は掃除に集中しようとした。
アンモニアが鼻を突き、濡れた雑巾のカビくさい臭いが悪寒を誘う。
「もう。早く終わらせちゃお」
なにも、隅々まで綺麗にすることはないのだ。
几帳面な性格が災いしてまじめにやっていたが、よくよく考えてみれば放り出したって誰に文句をいわれる筋合いもない。
バケツの水を床に撒き、ブラシで排水溝へ押しやる。
これで終わりにしよう。急げば、まだドラマに間に合うかもしれない。
「ふぅ……」
ブラシを用具入れに放り込み、私は一息つく。
鼻腔からトイレ臭が侵入し、すぐに微妙な表情になったと思うが。
「帰ろ……ぁ……」
ぐん、と胃の下辺りが鈍い痛みを放った。どうやら、寒いトイレにいたため、御腹を冷やしたようだ。
「まあ、丁度いいかな……」
どうせ、ここはトイレだから。
個室に入り、扉を閉める。このトイレは和式なので、座り込む必要があるのが難だ。
掃除したせいで冷たい風が股間を吹きぬけ、尿意を誘う。
「……ん……」
尿道を昇ってくる感覚に眼を閉じる。と、同時に物音が聞こえた。
『誰か、入ってきた……』
なんとなく、息を殺してしまう。
股間からちょろちょろと放尿する音が恥ずかしい。学校でトイレに入る後ろめたさとは何だろう。
――――などと考えていると、入ってきた人はなぜか、私の扉の前で止まった。
『何? どうしてこっちに来るの?』
慌てるが、「入ってます」と言う間もなく、大きな音がした。
「!?!?」
それが、強引に扉を開けられ、鍵が弾け飛んだ音だと知るまでに時間がかかった。
もちろん、私の身体もそれまでの放尿を止められるはずもなく、背中を冷たいタイルに押し付け、尻餅をついたままちょろちょろと小便を零してしまう。
「……ぇ?」
私の個室の扉を力任せに打ち破った犯人が、私を見下ろしていた。
「よ、用務員……さん?」
50歳くらいの、焼けた肌の男性――うちの学校の用務員だ。
いつもブツブツと何かを口ごもりながら、上目遣いに生徒を見ては黙々と仕事をしている。
「どうして? ……ぁ……!? や、き、きゃああああっ!」
元々気味が悪いと思ってはいたが、私の現状はその感想を軽く吹き飛ばすに充分だった。
「ハァ……ハァ……ハァ……」
用務員の息が荒い。
私を、私の股間を見つめている。
私の秘所は、いまだ山形にちょろちょろと小水を流していた。はやく、はやく止まって欲しい。
「いや……見ないで……嫌あああぁぁ!」
手を前に突き出すが、何の意味もなく。
用務員はこちらへ近づき、屈んで私の股間を凝視している。陰唇が、割れ目まで、見られているだろう。
「き……綺麗な、オマンコ……だ」
荒い息に混じり、用務員が手を伸ばしてくる。
――――まさか、私に触る? オマンコを?
だ、だって、オシッコしてるのに? え? 嫌……。いやっ……触らないで……!!
「い、いや、嫌ぁぁぁあああああああ!」
だれか、誰か、気づいて……!!
「バタン!」
――――しかし、トイレの扉が音を立てて閉まり、私の希望を絶ち切った。
「トイレで大声だすんじゃないわよ」
「あれ? 御坂さんもらしてるんじゃない? きったなー」
「オマンコ丸見え。みっともなーい」
キャハハッ、と笑い、入ってきたのは例のグループだった。
「え? み、みんな……どうし、て?」
――――もう、わけがわからない。
とにかく、この男を止めて欲しい。
変質者なんだよ?私のオシッコしてるとこ、みたんだよ?
眼で訴えてはみたが、彼女らは当然、とでもいいたげに男の後ろに並んだ。
「こいつ、御坂さんのこと好きなんだって」
――――何の話だろう。
「だから、私たちでお膳立てしてあげたの」
もしかして、トイレ掃除を押し付けることだろうか?
「いわば、愛のキューピットってわけよ。
さ、早速愛を語り合って頂戴」
――――何を言われているのかわからない。
「え……えみか……かわいいよ。
そのピンクのオマンコも、顔も、髪も……大好きだよ」
ひゅうひゅうと、荒くなりすぎた息が鼻や口元から漏れている。
焦点のぼやけた視線が、私の全身を嘗め回していく。
「言い方が悪かったわね。語り合うのは口じゃなくて、舌のお口よ!」
ケラケラと笑いながら、リーダーが男を突き倒す。
「きゃあっ!!」
男はバランスを崩して私のおしっこの水溜りに膝を付き、その顔は私のオマンコの2p手前に落ち着いた。
「ああ、やっぱり、思ったとおりだ。
えみかのオマンコ、ヒクヒクして、とてもエッチだ」
言葉の間に「ぐふ」、だの「んくく」、だのという不快な音が響く。
「な、何? なんで? どうして?
助けて、ねえ、助けてえ!」
私の悲鳴を面白そうに笑いながら、女子たちは「特等席」からこちらを見下ろしている。蔑んだような、期待するような、どちらにしても、私を助ける気はなさそうだ。
「オシッコもいいにおいなんだね。ツンとして、ホカホカで、うん。
な、舐めてみたい、な」
クンクンと私の秘所を嗅いでいた顔が、さらに近づく。
「うぅ……嫌ぁ……い、いや……!!」
ぺろ、とざらついた舌が私のクリトリスあたりを舐め上げた。
もちろん、先ほどオシッコをしたところだ。アンモニアに濡れている。
――――それを、躊躇いなく舐めあげたのだ。
「うん……ちょっとしょっぱくて、エッチな感じ……。
……えみか、えみかのものならなんだって汚くなんかないからね」
ぐぐ、というくぐもった喉の音が、この男の笑い声なんだと気づく。
「やめて……そんなとこ……助けて、や、やだぁっ……!! や、やめさせてぇっ……」
私の懇願は聞き届けられず、男はさらに舌を動かす。
指で右の陰唇を押さえ、襞が並ぶ肉の壁をレロレロと執拗に嘗め回す。
「ひぁあっ…!! そ、そんなとこ……舐めたらだめぇ……」
身体の、もっとも秘めておかなくてはいけない場所を侵される不快感。
反射的に脚を閉じるが、結果として男の頭を太腿で挟む形になってしまう。
「御坂さん。その気になってきたんじゃない? エッチい感じになってるよ」
「えー? あれじゃ変態じゃない? 太腿の感触がたまらないーってやつでしょ?」
それぞれに勝手なことを言いながら、生徒たちは私を見ている。
上気した頬、舌なめずりする様子が、この状況が彼女らにとってエンターテイメントなのだと知らせている。
「どうし……て? 私が、なにを……」
尋ねる間も、脚の間の顔は蠢き、私の股間を唾液まみれにする。
「えみか……大胆だね。し、白い太腿……はぁはぁ……や、柔らかくて、綺麗だ」
男の腕が私の片脚を掴み、ぐっと押し上げた。肩より上に一気に引かれ、伸びた腱が痛い。
「痛っ! ……」
びぃん、と股関節が伸び、片足だけを上げた形で固定されてしまった。
「痛、かった?
……ごめんね……もう、大丈夫。優しくするから……」
ぐぐ、と笑い、用務員が私のソックスに口付ける。
やめて、やめて、そんなところの臭い嗅がないで……!!
「うぅん、えみかの臭い。たまんないよ。ぐぐ……」
靴を脱がされ、靴下ごと脚を口に含まれる。
「じゅぷ……ん……んぐぐ」
生暖かい唾液が脚を汚していく。タイルに倒されたまま、私の身体が汚されていく。
「すっごい。……まさに変態だね」
眼を丸くしながら、女性とが一人、近寄ってきた。
「ほらぁ、御坂さんも、されるだけじゃなくてしてあげなきゃ」
え? というヒマもなく、女生徒は用務員のジャージを引き下げた。
「き、きゃああっ!」
下着の束縛を溶かれ、一気に持ち上がった男のオチンチン。
毛むくじゃらで、いやらしく脈打ち、震えている。
「くっさい用務員のクセに、アソコは一人前なのよ。こいつ。
御坂さん、恋人ならちゃんと奉仕してあげなきゃね」
用務員の尻を蹴りつけながら、女生徒が言う。
「わ、私、こ、恋人なんかじゃ……」
「ああ、えみか、えみかのオクチで、チンポ……しゃぶって……」
開いた口に、そのまま肉棒を押し込まれたのだと理解する前に、強烈な嘔吐感が襲ってきた。
『う、くさい……なに? これ。ビクビクして……!!
う……うぇぇ……』
「噛んじゃだめよ? 優しく舌でフェラしてあげるんだよ。ふぇらちお。わかる?」
わかるわけないじゃない、と涙でぼやけた視線で抗議するが、女生徒は知らんぷりして定位置に戻った。
「さ。変則69……ね? うふふ」
ぺろり、とリーダーが口元を舐めた。
「69ってなにー?」
「知らないの? チンコとマンコをお互い舐めるの」
「えー!? きったなー。っていうか、良く知ってるね、そんなこと」
「ふふ、御坂さんだって知ってるわよ。多分、ね」
ニヤニヤと笑いながら、私に目配せするリーダー。
有無を言わせないとはこのことだ。
『やらなきゃ、この学校にいられなくなる』
私だって普通の女の子だから、それなりのエッチな知識はある。
でも、まさか初めてのおちんちんが、こんな……酷い臭いの、それも用務員のそれだろうとは、夢にも思わなかった。
「んぐ……ぅぇ……ん、じゅぷ……んくっ……」
舌を動かすと、おちんちんから恥垢がはがれ、苦くて臭い味が口の中に広がる。
「う゛えぇ……」
思わずえづき、肉棒を吐き出そうと喉が収縮する。
「お……お……いいよ。
え、えみか……エリカの舌は最高だなぁ」
その痙攣をどう受け取ったのか、男はさらに腰を近づける。
「……っ!?」
一気に喉の奥まで肉棒が侵入し、息が詰まる。ガン、と後頭部が壁にぶつかり、涙が出た。
息がしたい。吐き出したい。頭が痛い。気持ち悪い……
「ああ、んへ……んええ……最高だぁ……夢みたいだよぉ……はぁはぁ……
え、えみかの口の中で、イケるなんて……」
言うが早いか、男は腰を動かしだした。
壁とおちんちんに挟まれ、まるで私はフェラチオのための人形にもなったかのように、乱暴な運動を喉で受け止める。
「んぐっ……げ……んぐぉ……んぷっ……!!
んんっ……ぇ……」
どんな声を出しているのかもわからない。酸欠で頭がぼうっとしてきた。
でも不思議と、臭いおちんちんの不快感は消えない。
喉から、避けそうな股間から、じわりじわりと『汚れ』た感覚が広がっていく。
嫌だ。私、このままじゃ汚れてしまう……嫌だ……。
「こいつ、チンコおっきいけど、早いね。もうイきそうじゃん?」
耳鳴りの中、女生徒の雑談が聞こえる。
「えみかもうっとりして、案外こういうの好きなんじゃないの?」
「それにしてもすごい格好だね……私濡れてきちゃったかもー」
「うっそぉ、あんたも変態?」
「あはははっ……」
勝手なことをぺちゃくちゃと喋っている。
私、このまま窒息して死んじゃうんだろうか?
―――もしかしたら、その方が楽かもしれないな……お父さんやお母さんに、こんなこと言えるわけないもん。
「んぐぐ……イく……イクよ、えみか。
僕の精子、いっぱい……飲んでっ!!」
ぼんやりしていた頭が急に覚醒する。喉に何かが叩きつけられたのだ。
びゅる、ドクっ、と喉の粘膜に何かが溢れ出す。
「……あ、こいつイッたみたい。ははは、すっごい顔」
生徒の声になんとなく視線を上げると、口をだらしなくあけ、中空を見つめたまま震えている用務員の醜悪な顔から、涎が垂れてくるところだった。
生暖かくて臭い唾液が頬にかかり、私は涙を滲ませる。
――――だが、静かだったのはここまでだった。
ズルリ、とおちんちんが抜けていくと、急激な咳と嘔吐感が襲ってきたのだ。
「げほっ……げぇっ……くぁ……あ……んぐぁ、あ……ぅ」
あぁ、開いた口から、何かが流れ出ていく。
黄色みがかった白い粘液が泡立ち、喉から逆流してくる。
何? この気持ち悪いの。
「ああ、恋人のザーメン吐き出しちゃだめじゃない。
あぁあ……御坂さんのオシッコとまざっちゃうよ?」
残念そうなその言葉に、他の二人が爆笑する。
「すごい、喉の奥からザーメン噴出してるー」
「あれ、苦いのかな? 御坂さん苦しそう」
抗議することもできず、私は背を丸めて、自分のおしっこの上に屈み、精子を吐き続けた。
「うぇ……んぐっ、ぁ……ぶぇえ……」
私の喉が気持ち悪さに蠕動する感覚と、用務員の荒い息だけが個室に響く。
「汚いなぁ……一度洗おうね」
言うが早いか、私の全身に冷水が浴びせられる。
掃除用具に溜まった水を頭からぶちまけられたのだ。
「きゃあっ!」
饐えた臭いが体中に染み付き、張り付いたシャツが気持ち悪い。
「はぁ、はぁ……はじめてで精子は飲めないよね。
これから、飲めるように頑張ろうね……」
おかまいなしに、嬉しそうにニタニタと笑いながら、男は私の脚を舐めている。
ふくらはぎ、膝の裏、クンクンと膝の裏の匂いを嗅がれている。
やめて……。
「おまえも、恋人が濡れたら服を脱がせて上げるのが男だろ」
背中を蹴られ、男が私の服に手を伸ばす。
「さ、御坂さんも手ぇあげて、脱いじゃいなよ。風邪引くよ」
何を言っても、もはや通じないだろう。大人しく従うしかない。
喉の奥の精子を吐き出しながら、そろそろと腕を上げる。
学校のトイレで、制服を脱がされるために。
「グス……うぇ、えぅ……」
自分が泣いているのだということを、どこか遠くで感じた。
いっそ意識を飛ばしてしまいたい。
……だが、ずるりと床に落ちた制服と、節くれだった男の指で引き剥がされたブラ、そして髭面のキスがそれを許さない。
「えみかの匂い……いい匂いだよ……」
すりすりと頬を擦り付け、ディープキスしようとする。
口を閉じて抵抗した私の唇をねぶり、顎を舐め、首筋から胸へと。緊張して硬くなっている私の乳首をなぞり、腹へ。
男が口を開けたとき、このまま内蔵まで食い破られるのではないかと恐怖したが、男の手は下着を脱がせ、再び私の中心へと向かう。
「あ、えみかのオマンコ、濡れてるよ……はぁ、はぁ……。
し、しゃぶらされて濡れるなんて、やっぱり僕らは結ばれる運命なんだ……」
恐らく、先ほど男が舐めた唾液に決まっている。
濡らしてなんかいない。好きでもない人にこんなことされて、濡れるはずない。
「こ、こんなに濡れてるなら……すぐ挿入れられるね」
挿入れられる……?
う、嘘……。まさか、初めてが、こんな汚らしい用務員に、無理矢理だなんて……
「ついに結ばれるみたいよ。ちゃんと撮っときなさいね?」
その言葉に、私はようやくビデオカメラの存在に気づいた。
「え、あ、……い、嫌ぁぁぁぁあああああああ!!
み、見ないでっ! 撮らないでええええっ!」
脚を閉じようとするが、逆に男の力で開かされる。
「二人の結ばれる瞬間を記録しといてあげるから、こっちに見えるようにしてねぇ〜?」
笑いながら、「カメラマン」のコが私たちに指示を出す。
「はぁ、はぁ……い、いくよ、えみか」
私はカメラに煽られながら、股を開かされた。抵抗は、とてもできなかった。
「はい、挿入式ー」
――――股間に、ズン、と重い痛みが走った。
「ひっ……いたっ……痛い! そ、そんなの……はいらな……あぎぃっ!
痛い痛い痛い痛い痛い! い、いやあああ、や、やだ、やだああッ!!?」
「大丈夫。力を抜いて……ほら、は、はいっていく」
ギチギチと、私の股を無理矢理に押し広げて怒張が侵入してくる。
「痛いぃ! ぁぅ……くぁぁっ……ひいい……!
た、助け……て……あ、あ、くぅうっ……い、いやッ……!いやああああッ」
このまま裂けちゃう……!! もう使い物にならなくなっちゃう……。
―――気づけば、すすり泣いていた。
痛みはどこか遠くの身体で、私は絶望の中に放り出されている。
「ハァ……ハァ……ハァ……全部はいったよ。えみか、処女だったんだね。
僕のために……とっといてくれて、嬉しいよ……えみかのオマンコ、温かくて……ヌルヌルだ」
耳元で、うっとりした中年オヤジの声が聞こえる。
「う、うう……。あ、あんたなんか、知らない……好きじゃない……」
それだけをようやく小声で訴えたが、もちろん、聞き入れられることなど、無かった。
「えみか、動かすよ……」
ぼやけた視界で、その言葉を聞いた。
ゆっくりと男の腰が動き始める。
カメラが回っている。一拍置いて、私の身体を激痛がいた。
「ひぃぃっ……!あ、ぁぅあ……んあぁあああああッ! あっ、あ、あうううっ!!」
目の前に、赤い稲妻が何筋も入る。
痛みが、オマンコから体中に伝わっていく。トイレがぐにゃりと曲がり、風景が回る。
「ああ、なんて気持ちいいんだ。えみかの膣……!
きゅうきゅう締め付けてくるよ。最高だ。最高だよ。えみか……えみかぁ!」
名前を呼ばれ反応した。
ジュクジュクと一心不乱に腰を打ちつけ、処女血にまみれた肉棒がずるずると私のオマンコを出入りしている。
「ねえねえ、……御坂さん、感じてるんじゃない?」
「ホントだ。息あらいもんね」
「無理矢理されて感じるなんて、案外いける子なんじゃないのー?」
クラスメイトの声が響く。
「御坂さん、足、絡めてよ」
え? と顔を上げると、女生徒が私の脚を掴み、用務員の腰に巻きつかせた。
「ホラ、こっちも。恋人でしょ? もっと愛を語らなきゃ」
両足で男に捕まり、私はなされるがままに貫かれている。
「ああ、えみか、えみかぁっ。好きだ。僕のえみかぁ」
――――狂ってる。
この用務員は狂ってる。
「もっと御坂さんも腰つかって、大好きって言うの。
もっと欲しいって、おねだりするのよ」
カメラを回しながら、別の娘が指示する。
「……わかってるわね?」
リーダーはただ、黙って見つめている。断ることは、とてもできない。
私が拒否すれば、今の映像はおそらく、みんなの知るところになるだろう。
トイレで用務員に……全裸で抱かれた女子高生……
――――最悪だ。それだけは、やめて。
(やめて……やめて……いや。こんなのは、イヤ……。)
―――――そして、何かが、壊れた――――――
「ダイ……スキ……」
口から言葉を紡ぎだすのが辛い。
「モット……もっとホシイ……の……」
空気が足りない。酸素を。息が切れる。
「ハァハァいってる。動物みたい」
違うの。感じてるんじゃない。
レイプされて、苦しいだけ。
「オマンコ結構濡れてるもんね。Mっけあるんだ」
そんなわけない。
これは用務員の唾液。私は感じてなんかいない。違う。
「フフ、あの顔撮って、あの嬉しそうな顔」
そんな顔、してるはずない。感じてなんかいない。
用務員の汚いおちんちんで、感じさせられてるわけなんかない。
こんなことされて、濡らすわけない。
「えっ……あ、う、嘘……なんで?」
――――なんで、こんなにオマンコが疼くの?
痛いのに、初めてなのに、どうして身体が熱いの?
「えみか……エリカ……もっと感じてよ……
はぁ、はぁ……僕のチンポで、もっとじゅくじゅくに濡らしてよ……」
どうして、私は自分で腰を振ってるの? どうして、こんなに切ないの?
「あぁ……んぁあっ……ふはっ……あぁああッ、あ、あくぅうううっ……!!」
気づけば、私の口からは甘い声が漏れていた。
「そんな……んぁぁあ……はぁ、ハァ……あ、あんんぅうっ……!」
冷ややかなトイレで、吐き出す息と股間からの熱が湯気を噴きそうなほど熱い。
「大好きだよ、えみか……」
不潔な舌が、黄色く変色した歯が私の口を責める。
なのに、私はどうして自分で舌を絡めてるの?
こんなに酷いことされて、どうして狂ってしまわないの?
「アハハハ、御坂さん、スキモノね。あんなに気持ちよさそうに」
誰かが指をさしてる。そう。私は本当は気持ちいいんだ……汚いおちんちんで突かれて、オマンコ濡らしてるんだ……。
「んっ……ちゅぶ……ぷはぁ……んはっ……ふぁあああっ、あ、あぁ、あはぁあッ……
アン、あ、んぅうッ……」
二人の涎が胸元に垂れる。白く泡立ったそれを、汚い手が私の胸に塗りたくる。
「白くてやわらかい。ふふ……え、えみかは全部最高だなぁ……」
その間も、腰は突き上げられ、ぬちゃぬちゃと音を立てている。
私のオマンコのおつゆと、男の先走りの汁の混ざり合う音。
「凄い臭い。
臭いし、なんかキモーい……」
ニヤニヤ笑いながら、皆が私を見る。そんな蔑んだ視線さえ、肌を刺す痛みが心地いい。
私は、変態になってしまった。
―――いや、もしかすると、もっと前から? もともと私はおかしかった?
「ほら、台詞がまだだよー」
カメラが寄って来る。
「ワタシ、貴方が……大好き……あん……。
あなたの、おちんちん……もっと、ほしい……」
やっとのことで搾り出す。
「ああ、僕もだよ! う、嬉しいよ……え、えみかの中でイくよ。
いっぱい僕のザーメン出すから、今度は……えみかの下のオクチで受け止め、て」
抜き差しが激しくなる。
「あぁ、そんなにしたら……オマンコ捲れるぅっ……!
んひぃっ……ぎっ……あはあああぁ!」
自分の声が甲高くなっているのがわかる。喘ぎ声。
まさか、こんな声を出すことになるなんて。
「ふぁあ……イィっ……オマンコ気持ちいいのおおっ! あ、ああぁ、あひぃいっ!!
す、好きぃ……これスキ……もっと……もっとぉ……!!」
腕を男の首に絡め、胸に抱きこみながら、腰を動かしている私。くねくねと腰をくねらせ、自ら男の肉棒をくわえ込もうとする、さっきまで処女だった私。
「ふぁ……んあ……くぅ、っはぁ……あぁあ……いいよぉ……あ、あんんッ……。
いいのぉ……あ、あぁあ、はぁ、あはあッ……!!」
パンパンと、御腹のぶつかる音がする。そのたび、粘液が弾け、二人の身体を汚す。
「オマンコいい……気持ちいい……もっと、もっと気持ちよくしてぇ……?
ん、んぁ、んはぁあッ……!! あ、あふ、ふぁああッ……!! ん。んぁ、あああッ!!」
もう、言葉が消える。
頭が真っ白になって、身体全体がオマンコになったみたいで、ずるずると内壁の、襞の部分をおちんちんの括れがこするたびに体中に言い様の無い快感が駆け抜ける。
「もっとぉ……突いて、私の中に出して……もっと汚してぇ……あ、あぁ……。
いっぱい、いっぱい犯してぇ……」
声がかすれる。んぐ、とかぐぉ、とか、私の知らない私の声が混じる。まるで豚みたい。
快感に狂って、目を見開いて、おちんちんを欲しがる豚の声。
「すっごーい、これ、売れるんじゃない?」
「たしかに。スゴイエロいことになってるよ。厭らしいから売れるかもねぇ?」
「もっと動いて。ちゃんと精子飲み込むのよ。妊娠したら、私たちがかきだしてあげるから」
「きゃはは、サイテー」
声が、段々と薄れていく。何が起こっているんだろう。カメラが私をアップで撮る。
「ザーメン被らないように気をつけてね」
私にではない。カメラのコにかけられた言葉だ。
「わかってるよ。御坂さん、こっち向いて。ほら、笑顔笑顔」
いわれて、レンズを見つめる。歪んだ写像が、口の端を弱々しく吊り上げている。
髪まで便所の水でじっとり濡れて、汚らしい用務員のチンポをオマンコで咥えながら、へらへらと淫らな笑顔を浮かべる女子高生。私の姿があった。
「あぁ……あぁあ……なんで? どう……して?」
疑問には誰も答えてくれない。
ただ、腹の中の奇怪な棒が膨らみを増した。
「あぁ、ぁあ……射精るっ!」
私の一番大事な器官に、生暖かい汚濁がぶちまけられた。
「あぁ……あんっ……出てるぅ……射精されてる……」
「気持ち、いいよ……えみかぁ……! ザーメン、美味しいかい?」
――――ああ、そうか、膣に射精されたんだ。
名前も知らない用務員の精子を、流し込まれたんだ。私。
「うん……美味し……あったかくて……。
こんなにいっぱい出されたら……、に、妊娠、しちゃうかも……あぁ……あぁあ…」
私の背筋がビクビク震える。排尿にも似た快感が、身体の表面をなぞりあがっていく。
「ねぇ……、このコ、イってなーい?」
「まさか、だって初めてだよ?」
「でも……あ、やっぱイッてるイッてる」
クラスメイトが口々に言い、爆笑している。
「御坂さん、イった? ちゃんとカメラにむかって言ってね」
レンズが私のオマンコに向かう。まだ肉棒がギチギチにささり、陰唇が2枚とも外側に捲れ上がった私のオマンコ。
「ハイ……えみか、イッちゃった……ぁ。
気持ちよくて、処女なのに……イっちゃったよぉ……?」
―――――こう言えば、もう許してくれるだろうか?
「気にいったみたい。良かったね。
私たちはこれ以上いると臭いついちゃいそうだし退散するけど、ちゃんと最期まで掃除しといてね?」
リーダーが笑い、きびすを返す。3人ともがトイレから出て行く。
「あ、そうそう。
これからは用務員専属の清掃係なんだから、いつでもどこでも彼の掃除をしてあげるのよ?」
それは、どういう意味だろう。
ああ、御腹が痛い。破れてしまった私の処女膜に、ザーメンがしみる……。
「はぁ、はあ、……ああ、えみか、可愛い僕のエリカ。
もういっかい、いいよね?」
肉棒を抜いて、用務員が私のオマンコを開く。
……今開いたら、ザーメン溢れるよ。
「すごいよ、えみか。
えみかのオマンコ、ビクビク充血してる」
うん。もう、綺麗な女の子じゃないもの。
もう処女じゃないもの。処女は貴方に奪われちゃったもの。
「も、もう一回、入れるよ……」
――――好きにしていいよ。
私は貴方の掃除係。いつでも、そうしなきゃいけないらしいから……。
END